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矛盾 ver,1,01

とくに特徴のないこの道

あると言ったらまるで街路樹かのように立っている木々ぐらいである

普段は1日何人かしか通らないこの道だが、今日は大勢の人だかりができているではないか

その中心からこんな声が


「さて、こちらにありますのは一つの矛

 いつぞやの戦国武将が使っていた、なんていう嘘まるわかりのものでは決してありません

 科学の日本と言われて早数十年

 ついに貫けないものをなくした最強の武器です」


自慢ではないが、俺はそれなりに武器を選別することができる

日本が戦争に敗れたのはもうどれくらい前だろうか

もう武器は必要ない世の中なったのだが、俺は今だ真剣剣術道場師範代をしているのだ

幾千もの武器を扱ってきたという自負が、俺にはある

その最強の武器とやらを一度拝んでやろう

そう思い俺はその群衆に近づいて行った


「しかしいくら強い武器を持っていても防具が弱けりゃ意味がない

 的を射程圏内に収めるには的に近づくことも必要です

 そこで役に立つのがこの盾

 改良に改良を重ねた結果、何物にも負けぬ強靭な素材の開発に成功しました

 この盾一つでどんな物でも防ぐことができます」


群衆の中心にいたやつが、そういった

どうやらこいつは武器商人らしい

戦のないこの時代で物珍しいことしてるから群衆がたかったのだろう

みなそれらに魅了されているのか声一つ上げない

しかし、俺には気づいてしまった

こいつが嘘をついているということに

さぁ、見破ってくれようぞ




「その矛で盾をついたらどうなる?」


言ってやった

俺は、たった一言疑問を投げかけてやった

静まり返っていたヤジ馬どもが一斉にこちらを振り返る

しかしそんなことはどうでもいい

俺の一言には恐ろしいほどの力があったのだ

もし矛が勝った場合、盾は最強でなくなる

逆もまたしかり

答えられるはずがないのだ

そう、答えられるはずなど

しかし商人は答えた


「そんなことすると、あなた死にますよ」


あっさり、そう言った

何を言ってるんだこいつは

苦し紛れの言葉であろう

そんな簡単に死ぬわけない

第一死ぬ理由が皆目見当つかない


「なぜ死ぬことになる?」


当然の疑問をそこで投げかける

すると商人は答えた


「あなたが言いたいことはこういうことでしょう

 矛が盾を貫けば盾は最強ではなくなり、その逆もまたしかり、と

 確かにそのとおりです

 しかし、そう簡単にことは片付けられないのです」


「意味が分からない。死ぬ理由の説明をしてくれと言っている」


なにやら不穏な空気を察知したのか、周りにいた人どもは散り散りに帰っていく

みな、よくないことが起きると感じたのだろう


「なぜだ。どうして死ぬことになる」


予想外の答えが返ってきたことに言い知れぬ不安を覚えてきた

どうなるも、どちらかが最強じゃなくなる以外の結果があるというのか

いや、あり得ない

あってはならないのだ


男の怪訝な表情をくみ取ったのか、商人は話し始める


「簡単なことです

 どちらも起きるんですよ」

「はぁ?」


こいつは何を言い出すんだろう

そんなことあるわけないのだ

物理的に不可能なはず

1対1の場合勝者と敗者ができるはずなのだ



商人は続ける


「あなたは、自分が生きる世界を唯一無二の本物だと思いますか?」


頭が混乱する

こいつは頭がおかしいのだろうか

そんなこと答えるまでもない

なぜなら俺がここに存在しているからだ

俺が存在している以上、この世界は偽りでも何でもない

この世界があるから俺が存在できるのだ

ぐるぐるぐるぐる、そんなことを頭が回る

ぐるぐるぐるぐると、まわる


「もしあなたがそう思っているならそれは大きな間違いです」

「そんなわけ・・・」

「そんなわけ、ないと?

 しかし厳然としてあるんですよ。ここ以外の世界が



 そう、例えるなら金太郎飴といったところでしょうか

 この世界は金太郎飴の1つなのです

 つまり、いくつにも切られた内の一つ

 凡人には見ることもできないでしょうが、実はここと全く同じ情景の世界が別にあるのです

 もちろん、私たちと全く同じ人間が全く同じことをそこで今行っています

 違う世界の同じ人物は全て1つの脳でつながっています

 そして先ほどいった『両方起きる』という言葉の意味

 それはこの次元で矛が勝った場合、他の金太郎飴の1つで盾が勝った場合が発生する

 盾が勝てば、金太郎飴の1つでは矛が勝つということ

 つまり、同一でないとならない世界で違うものが発生することになるのです

 しかし、たった一つのことが違うだけでその後の世界は大きく変わってきます

 もし盾が勝った場合、日本は守備主体の国へ

 矛が勝った場合は攻撃主体の国へと変貌するでしょう


 ひとつ分かっててほしいことは、この盾と矛にはそれほどの威力があるということです

 どちらもまごう事なき最高傑作であること、そして政府に目をつけられたらまた戦が始まるであろう程の戦力を擁しているということを分かってください


 ここと他の金太郎飴とで違う現象が起きた場合、矛と盾の保持者はどうなるかというと1度に2つの情報が入ってくることになります

 今まではすべての金太郎飴で同じことが起こっていたので1度に1つの情報しか取得しませんでした

 しかし別々のことが起きると、矛勝利後と盾勝利後の2つの情報が1度に目から入ってくることになります

 そうすると、どうなるかというと頭のほうがそれについていけなくなります

 もともと1つしかない脳に2つの情報が一度に流れてくる

 それが未来永劫続くとなれば、どこかのタイミングで必然的に脳が溶解します

 情報量の多さに脳のキャパを超えてしまうんです

 それでもどうにかしようと脳がいつも以上に働こうとする

 その結果、脳のオーバーヒート

 そのままその熱量により溶解、となるわけです

 だから、矛と盾を突いたものは死ぬんです」


商人は一気にまくし立てた

おかげで俺の頭は今フル稼働している

それこそ、今にもオーバーヒートしそうなぐらいに動いている

今のこの説明だけでもこのようになってしまう

もし本当に一度に2つの情景が脳に送られてきたら俺は本当に死ぬんじゃないか

普通ならあり得ないと切り捨てているだろうが、なぜか素直に信じてしまった

信じさせてしまう、そんな空気が漂っていた




「なーんて、嘘ですよ」

「へ?」

え・・・?

嘘・・・?


「ちょっと口から出まかせに言ってみただけです

 商売柄こうやって嘘ついて利益も受けないといけないこともありまして、それなりに舌が回るんですよ

 自分でもここまで話せるとは思っていませんでした」


あはは、と朗らかに笑う

しかしちょっとずつ顔が歪み始める

その顔色は、嘘をついてしまったことに申し訳なさを感じているようにも見える


「お詫びといってはなんですが、この盾をついてみませんか?

 最高傑作の矛で思いっきり突いたらさぞ気持ちの良いことでしょう」


その時、体がびくりと反応するのが分かった

こんな話を聞いた後じゃとてもそんなことする気にはならない

たとえそれが嘘だとわかっていても

人間として当たり前の反応であろう


「大丈夫です

 さっきのはすべて嘘なんですから

 なんなら私がこちらの盾を持ちましょう

 私自身どちらが強いのか気になりますし、ね」

「そっか

 そうだよな、嘘なんだよな

 クソ、騙されてなんか胸糞わりぃや

 思いっきり突いてやるから覚悟しとけ」

「はい

 思いっきり来てください」


俺は、ありったけの力を込めてその矛を突き出した









とくに特徴のないこの道

あると言ったらまるで街路樹かのように立っている木々ぐらいである

しかし今、そこにはまるで頭部から出火したかのような焼け方をしている2つの死骸が追加された












こんばんわ
ぐりおにです

夜のテンションで描いてたら超長くなりました
反省はしています、後悔はしていませんが


普通の矛盾の話で商人が損しない方法を考えてみました








矛盾 簡素番


「こっちの矛はどんなものでも貫きます

 そっちの盾はどんなものからも攻撃を防ぎます」


「矛で盾突いたらどうなる」











「買った人にしかわかりません」
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Comment

2009.08.06 Thu 01:56  |  

いいですねぇ、そういうノリ。僕は大好きです。
SF(少し、不思議)チックな感じがなんとも。

矛盾の話は好きですから、僕も真似させていただきます。

  • #-
  • datto
  • URL

2009.08.06 Thu 07:21  |  

最早、本編とはシナリオ変わってますが面白かったですww

  • #-
  • @KOUHEI@
  • URL

2009.08.06 Thu 23:54  |  

皆様、こちらの矛と盾、爆弾を抱えておりますので
この矛でこの盾を貫くと、両者死にます☆

  • #CjlWd7YA
  • めもてふ
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